ニーブログ Written by Takashi Nii

年俸制を企業が導入する理由、知ってる?【転職エージェントが解説】

会社制度・法律関係

気になる人
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たまに、「年俸制」の会社を見かけるな。
年俸制は、どんな企業が導入しているんだろう。
導入すると、何かいいことあるの?

こんにちは、仁井貴志(にい たかし)です。
私は普段、某大手人材会社にて、転職エージェントとして社会人向けのキャリアコンサルを行っています。

転職活動中の方から、たまに年俸制を導入している企業について聞かれることがあります。
そんな「つい気になってしまった方」向けに、企業視点で年俸制について簡単解説します。

本記事の内容

  • 年俸制とは何か?が分かる
  • 企業が年俸制を導入する理由が分かる
  • 年俸制を導入するリスクがわかる

5分程度でサクッと読めますので、
この機会に年俸制について、ちょっと詳しくなってみてくださいo(`ω´ )o

 

”年収”と”年俸”の違い

年俸制とは、1年単位で給与を算出する給与体系のことです。
年間の奉仕レベルが、来年度の収入を決める制度とお考えください。

私たちに馴染みのある”年収”とは、主に”月給制でもらう給料”を指しています。
月給制と年俸制の違いは、「年間の収入が把握できるかどうか」にあります。

  • 年俸制:年単位で給与が決定。(成果主義っぽい)
  • 月給制:月単位で給与が決定。(勤続年数や年功序列を重視する傾向)

どちらにも、良し悪しがありますので、後述します。

 

年俸制の歴史【導入企業は増えています】

年俸制は1990年代から日本で導入され始めました。
約30年の間に、年俸制は様々な企業、多様な労働者に対して導入が進んでいます。

ちなみに、企業規模が大きいほど年俸制の導入率が高まっています。
そして、役職の高い方ほど、年俸制が適用される傾向にあります。
(一般従業員用の評価基準では、事足りなくなってくるのですね)

参考文献:
荻原 祐二(2017). 日本における成果主義制度導入状況の経時的変化. Studies in Science and Technology, Volume 6, Number 2, 2017
http://www.union-services.com/sst/sst%20data/6_149.pdf

年俸制の導入メリット【企業視点】

気になる人
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月給制の企業が多い中で、なぜ年俸制を導入する企業がいるんだろう?

そんな疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
企業にとって年俸制を導入するメリットはいくつかあるのですが、抜粋して3つ紹介します。

 

年俸制の導入メリット(企業目線)

  • 経営計画を立てやすい
  • 社員をモチベートしやすい
  • 「働かないおじさん」を切りやすい

 

経営計画を立てやすい

年俸制は、月給制とは違って「従業員に払うお金が年間で決まっている」というものです。会社にとって人件費は、私たちにとって電気・水道・ガス代のようなもの。(固定費用)
毎月の電気代が高かったり安かったりする状況より、「毎月●万円がかかる」とわかっている状況の方が、飲み会や洋服などにいくら使うか決めやすいですよね。固定費を予測できる状況の方が、会社運営も行いやすいのです。

社員をモチベートしやすい

年俸制は、月給制よりも明確に「自分の頑張りが給料に反映されやすい」傾向にあります。
このため、従業員はプロスポーツ選手のように「この1年間でしっかり結果を出して、翌年度の年俸を上げてやるぞ!」と意気込んで頑張ります。

これは、会社からすれば「メンバーのモチベーションを上げるために多くの時間を割かなくても、年俸制がその役割を一定担ってくれる」という状況を作れるわけです。

頑張った人を全員の前で称賛して、その人がメキメキと昇給・昇進する様子を見れば…

気になる人
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自分も頑張ったら、そこそこイケるんじゃ?

って、思っちゃいますよね。

 

「働かないおじさん」を切りやすい

月給制で、在籍年数や年功序列で評価が自動的に高まる企業が、日本にはまだまだ多く残っています。
結果として生まれてしまうのが「働かないおじさん」。

働かないおじさんは中間管理職に多いです。
極端に言えば、こういう存在。

部下が働いている様子を眺めて
・特段有益なアドバイスもせず
・座っているだけなのに
・部下の何倍も給料を貰っている。 

あ、職場のあの人だ。」と想像がついたのではないでしょうか?
昨今の新型コロナウイルス(COVID-19)騒動で、リモート運営に切り替える企業も増えてきました。
そこでも、働かないおじさんは問題視されているようですね。(参考記事:ダイヤモンドオンライン

会社としては、従業員のパフォーマンスと給与のバランスは取りたいところ。
しかし、月給制だとなかなか降給にできません。(降格にはできても、基本給は下げづらい)

一方、年俸制はシンプルな仕組みです。
・成果を出せば、年俸を上がる
・成果を全然出せなかったら、年俸を下がる
企業は年俸制の導入で「働かないおじさんを生み出しにくい仕組み」が作れるのです。

 

年俸制の導入リスク【オイシイ話ばかりじゃない】

気になる人
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いい話ばかりだけど、企業にデメリットはないの?

こう思われる方もいらっしゃるかと思います。
年俸制には導入メリットがいくつもありますが、やはりオイシイ話ばかりではありません。
企業目線での年俸制導入リスクについては、概ね下記のようなものが挙げられます。

 

年俸制の導入リスク(企業目線)

  • 年度内は支払額を変えられない
  • 年俸の大幅減額は難しい
  • 契約を結んでいくのが面倒臭い
それぞれ解説していきます。

年度内は支払額を変えられない

年俸制は、従業員に支払う額を想定して経営が行える一方で、
何があっても基本的に年度内はその支払額を変更できない」というリスクがあります。

たとえ従業員の成果が出なくても、クライアントを怒らせて巨額の損失を会社に与えても、従業員への支払額はいきなりダウンさせられないのです。

このため、制度によって従業員のやる気が自然にあがることを待つだけではなく、
従業員のスキルアップ、モチベーション向上を狙った施策を打ち出す努力を怠ってはなりません。
(年俸制の企業が、意識高めなセミナーなど開催していたら、「そういうことかもね」と思ってみてください)

 

年俸の大幅減額は難しい

年俸は「労働条件」で定められるもので、労働条件とは、雇い主の会社と雇われる従業員の双方合意によって決まるものです。
つまり、企業の一方的な意思決定で、「生活権を脅かすほどの労働条件の不利益変更」は実際できないのです。

たとえ従業員が「働かないおじさん」になってしまったとしても、「年俸額をいきなり10%以上下げる」ということはかなり難しい実情です。
抑止力にはなっても、やはり労働基準法は従業員を守りますので、やたらな降給は出来ないということですね。(だからと言って、不真面目に働いてはいけませんよ!)

 

契約を結んでいくのが面倒臭い

職種、役職、等級などによって「このパタンなら、入社スタート時は月給●万円スタート」と簡単に決まるものなら、採用時や契約更新時の書類発行〜条件同意にさほど手間はかかりません。
しかし、年俸制は従業員ごとに年俸が異なる可能性、また役職の有無によってみなし労働(●時間以上残業したら超過分は支給)の区分も異なったりします。
つまり、個別対応がなおさら必要なので、面倒くさいのです。

締結と更新のタイミングで、従業員一人ひとりに対して書類を作って条件に納得いただくための面談を実施していくため、時間と手間がどうしてもかかります。
(手間を怠ると、従業員から「こんなの同意してませぇん!」と手のひらを返されてしまうことがあるため、必須コストとなります)

どうでしょう、企業側の苦悩も一定お分かりいただけましたか?

 注意
くれぐれも、制度を逆手にとって悪用してはいけませんよ!笑 

年俸制の企業で活躍しよう

今回は年俸制を企業目線で紐解き、メリット・デメリットを解説しました。
ぜひ、年俸制の企業へ入社する際は、従業員のメリット・デメリットだけでなく、企業側の視点も押さえて検討してみてください。

ちなみに、年俸制について従業員側のメリデメはこちらの記事で解説しています。

年俸制のメリット・デメリットを解説【入社前のチェック項目付き】

 

転職をすることは当たり前になり、終身雇用制度も実質崩壊するなど、日本の働き方は徐々に変わっています。
「在籍期間中に最大限のパフォーマンスを発揮してもらい、最適な額で給与を支払いたい」と考える企業は増えるでしょう。

フルコミッション(完全歩合制)と年俸制は違いますから、
少し成果が出なくたって、生活がいきなり脅かされることは考えにくいです。

頑張りを正当評価されたい!という気持ちが強ければ、ぜひ年俸制の会社も前向きに検討してみてくださいね♪

年俸制

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